韓国音MADの歴史が、一つの記事でまるごとわかる。
「韓国音MAD史」では、韓国音MADの歴史をWEBサイト記事形式に紹介します。
韓国音MAD界隈は日本のに比べて規模的には遥かに小さいですが、
メインサイトを乗り換えったり、かなりダイナミックな事件が起きたり、
韓国のネット文化や雰囲気を知らずに理解しにくい部分もあったりします。
自由に振り返りながら、そして関連動画も思い存分楽しめるように記事の形式に公開します。
韓国音MAD界隈は日本のに比べて規模的には遥かに小さいですが、
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韓国の音MADの起源地として欠かせないのがDcinsideのコラギャラリー*(합성 갤러리)、当時のコラ-必須要素ギャラリー(합성-필수요소 갤러리)である。かつて韓国インターネットのネタとネタ動画はほとんどここから生まれ、音MADもそうだった。2000年代初頭から2010年代初頭までDcinsideで最も有名なギャラリーだったといっても過言ではない。
この時期に活動した音MAD制作者は現在ほとんどは引退済みだが、当時発されたネタは今でもかなり使用されている。韓国音MAD界隈の起点として、その影響は最も大きいとも言える。
* ギャラリーとは、Dcinsideにおいて5chの「板」のように特定話題をテーマにするネット掲示板のこと。
Dcinside(略称DC)は1999年に設立された韓国最大規模のネットコミュニティサイトである。サイト内でテーマ別に「ギャラリー」という名前のコミュを作成することができる。現在、DCはゲーム、スポーツ、人物、放送、芸能など社会各分野について2,000以上のギャラリーが開設されている。
コラギャラリーの最初の投稿は「●コラギャラリーオープン祝い● 海が見えるアヘッヘッ(아햏햏)駅」というものだった。2002年開設当初の名前は「コラギャラリー(합성 갤러리)」だったが、頻繁に活用されるコラ素材、つまり必須要素(「ネタ」に当たる新造語)という概念が整理されるにつれ、ネタ中心のコラのための場所として分離され、長期間「コラ-必須要素ギャラリー(합성-필수要素 갤러리)」という名前を持つようになった。
この時代の特徴的な点として、素材という用語の代わりに「必須要素」という用語が使われていたことが挙げられる。
他に音MADの活動地である、後に述べるTVple、YouTube、そして日本のニコニコ動画、中国のbilibiliなどが動画配信サイトであることとは異なり、コラギャラリーは5ch、フタバ、redditのよう掲示板形式の文を書くコミュニティであったことが最大の違いであった。そのため動画以外にも写真、雑談、素材共有などが同時に行われ、投稿内容も投稿者のやりたい放題だった。
「コラ」ギャラリーという名称に相応しく、開設後しばらくは画像コラが主流であり、初めから動画が主流の板ではなかった点が特徴的である。音MADが主流として定着した後も画像コラは着実に投稿され続け、当時ネットに出回るほとんどのネタ画像を産んだとも言える。
この頃から音MADが徐々に見られるようになり始めたが、「音MAD」という用語ではなく、当時は「音声コラ」などと呼ばれていた。
2000年代後半、当時テレビによく放映されていた韓国版パピコCFの音楽と、2008年の韓国映画「The Good, The Bad, The Weird」のテーマ曲「Don't Let Me Be Misunderstood」をミックスして作られた動画、通称「パピノム」がバズった。この勢いに乗って他のネタ曲などをメガミックス形式に混ぜた「パピノムバカディスコミックス」も投稿された。
これらの作品の人気により、韓国版パピコの販売量が40%以上上昇したとも言われ、数年間放映されていなかった元のCFが再び放映され始めた。地上波バラエティ番組「Infinite Challenge」でパロディされるなどカルト的な人気を得て、実質的にコラギャラリーを代表するヒット作品となった。
「パピノムバカディスコミックス」の制作者であるESTi.は、アイドルマスター、テイルズウィーバー、MOTIVITY、Apparition、DJMAXシリーズに収録された楽曲を多数作った作曲家でもある。
この頃から本格的に音MADが主流として浮上した。他の時期との大きな違いは、単一素材として使用されるのではなく、複数の素材を一緒に使うオールスター音MADがほとんどであったことだ。
この時期に発掘された野人時代の「俺が鼓子(読み方:ゴザ)だって(通称ゴザラニ)」のシーンがネタとして使用され始めた。2003年3月4日放映のSBSドラマ「野人時代」64話で出てきた共産党幹部であり俳優のシム・ヨン(심영)が上海・ジョーの銃が「例の身体部位」に当たり性機能を失ってしまった事件を扱ったシーンは、多くの人々の笑いを誘い、今でも韓国で最も有名なネットミームとして定着している。
2008年3月1日(このサイト配信日から丁度17年前)にナイト・オブ・ナイツを使って作った音MAD映像「鼓子・オブ・ナイツ」が投稿され、DCinsideのメイン(HITギャラリー)に掲載されるなど多くの人気を集めた。現在までもシム・ヨンが出演した野人時代音MAD映像の中で再生数1位の映像となっている。
制作者である「スカ」は投コメで「こんにちは、ニコニコからのスパイです(信じたらゴルム)、実際エロゲ作品だと言われても反論できません」と書いており、後に明らかになった情報によると、ニコニコ動画の音MADから多くの影響を受けていたようだ。その後、スカは「虹色社会主義」、「必須キャノンロック」などコラ-必須要素ギャラリーを代表する傑作を続々と投稿した。
「Dr. Gothick(コドゥイク)」という作者がビリー・ヘリントンを日本から輸入してネタ化した。韓国でのガチムチは「プンタク(붕탁、腕を振り回す・尻を叩く音の擬音語)」という言葉で呼ばれる。
「クラッキンニュービー - Y gayte」、「Angdows8」、「Luv the VANastic??」などの作品が生まれ、日本と同じくらい韓国でもファン層が多いネタとして定着した。この時期には先に言及した「ゴザラニ」ネタと絡めて使われることが多かった(掘られやすいので)。
他に特筆すべきは、2015年に国際的男尻祭を韓国人のコラギャラ民が主催したことである。
2008年2月18日に「イ・ホソン殺人事件」が発生した。これはヘテタイガース(現KIAタイガース)野球選手出身の実業家イ・ホソンが自営業者である妻とその三人の娘、計4人を殺害して自殺した事件である。
2011年頃、TTSの声や男子部の石川などを活用して作ったコラ動画が話題となり、この動画が音MAD素材として積極的に使用され始めた。
コラギャラリーの全盛期に、ギャラリーのユーザーの中で外国のネタ動画にも興味を持った数人が現れた。2010年末、ニコニコ動画の「本格的男尻祭2010~Boy Next Year」という名前のレスリング合作が投稿された後、これに刺激された数人が「そういえば私たちの国にはなぜあのようなものがないんだろう」という実験的な発想から立てたのが「HAPPILy 2012」である。
これは韓国初の複数人が集まったメドレー合作であり、毎年初日のコラギャラリーのお祭りのような存在となった。2012年の場合、それぞれ制作した作品をつなげて上映する形式をとり、2013年は原曲をつなげたメドレー形式の合作となった。2014年からはメドレーアレンジを加え始め、2016年コラギャラリーの衰退と共に一旦終了したが、2018年に再開して2020年に最終的に幕を閉じた。
その他のコラギャラリー発の合作としては「本格的コラ祭」という合作シリーズがある。
この頃からギャラリーへの投稿数も目に滅多に減少し、ギャラリーの名称も「コラ- 必須要素ギャラリー」から「コラギャラリー」に取り戻された。閲覧数も2011年までは基本的に500を超えていたが、2014年になると普通の投稿は300を超えるのも難しくなった。人気投稿でさえ閲覧数が1000~2000程度しか得られなくなった。
作品中心に運営されていたギャラリーでは荒らしによる栄養価のない議論と低質コラ画像が大量に投下され、雰囲気が冷たくなり、ちゃんと本気で制作された作品までもすぐに埋もれてしまうようになった。
それでもこの時期にイ・ギチョル、ウリ、コ・スンドク、キムチビンタ、平穏茶などの新しい素材が発掘され、「三三九九」と韓国初の単一素材合作「喜怒肥楽」もアップロードされた。
コラギャラリー自体の閉鎖性のために避けられない現象だったと考えられ、作者たちはより開放性のあるYouTube、TVpleなどのプラットフォームが移籍していった。
荒らしに苦しんでたコラギャラリーはその果てに人がいないギャラリー、いわゆる停電ギャラリーとなった、代わりに「コラ必須要素」という名の下に古典素材オールスター動画が引き続き制作されている。
「コラ-映像マイナーギャラリー」がある程度後継者としての役割を果たしており、ゴザラニは2017年にYouTubeに良く定着して合作「爆8前夜」も制作されるなど、依然としてファン層を維持している。2021年からは毎年「シム・ヨンカフェ」という名前でイベントが開催されており、2024年のイベントではシム・ヨン役の俳優「キム・ヨンイン」がゲストとして招かれるほどの人気を誇っている。
一方、イ・ホソン素材は2023年以降単一素材として再び注目されるようになり、「死死死死」などの合作が制作されるなど、日本のニコニコ動画制作者たちの関心も少しずつ集めている。
コラギャラリーの衰退後、音MAD制作者たちが主に定着して活動した動画配信サイトがティビプルである。現在でもよく見られる日本のサブカルチャーを基盤とした曲選定や素材選定で音MADを制作するスタイルがこの時期から大幅に増えた。この時期の新生音MAD制作者たちが現在に至るまでかなり多く活動している。
株式会社Ultramonsterが運営していたサブカルチャー動画配信サイトで、モットーは「大きく美しいUCCの世界」だった。
特徴として、「雲」は映像内にコメントを付けられる機能で、指定したタイミングになると2秒ほど表示される。ニコ動と似ているが、横に流れる効果はない。TVpleのトップページにはランキングがあり、リアルタイム最新動画・リアルタイム全体動画・週間・月間の人気度上昇率が高い映像を人気度順に配列して表示していた。ニコ動と似た形式の「タグ」機能も備えていた。
ニコ動風のサイトであるため、自然に音MADも人気を博すようになり、海外の音MAD映像を転載しても自然に鑑賞して良い反応があった。2014年頃からニコ動音MADの転載がかなり人気を集めるようになった。
音MADと呼ぶ人はほとんどおらず、代わりに同じニコニコ発用語である「電子ドラッグ」と呼ぶことがほとんどだった。
その後、デスノート音MADである「バカヤロイド」の「ライトは混沌の奴隷」映像が凄まじい人気を得た後、多くのデスノート音MAD映像をニコ動から持ってきて転載し、「ライト君は抹殺されるのか? 最終鬼畜兵器MATUDA・T」もかなりの人気を得た。後に素材として使われるものは「〇〇ロイド」という名で多く呼ばれるようになった。「〇〇ロイド」という名から自然にボーカロイドで使用する用語である「調教」という用語も多く使用され、現在までも「人力VOCALOID」と「台詞キメラ」を含む用語としてをよく使われている。
この時期にも少数ながら自主的に音MADを制作する作者がおり、コラギャラリー出身の中にも投稿する人がちらほらいた。TVpleではAfreecaTV(現SOOP)配信者とデスノート素材を利用して制作する新人制作者たちが爆誕、コラギャラリーで活動していた作者たちがイ・ギチョル、ウリ、コ・スンドク、キムチビンタ、平穏茶の動画をときどき投稿することもあった。
徐々にTVpleで音MADの人気が高まり、「[ ゼロ合作 ] 私はドラッグだ」という合作が投稿された。TVpleで活動する「Team ゼロ」のメンバー多数が参加した音MADを紹介しつつ、追加映像を付け加えてサバイバル競演番組「私は歌手だ」パロったの形式を取った映像であり、計7つの素材を使用した既存に投稿された音MADを鑑賞した後に投票し、投票結果によって次のラウンドが進行される「競演合作」だった。
オープニング映像、イントロ、前回の脱落者公開、既存TVプログラムのシーンを適切に使用したインタビューシーン、投票画面など、優れた品質の編集は良かったが、すでにニコ動、TVpleに投稿された音MADを無断転載で寄せ集めたという点が問題点として浮上し、後続企画(私はドラッグ:リバイバル)からは自主制作した音MADのみで構成された。
当時TVpleを含めた韓国では馴染みのなかった野々村素材が第1ラウンドのテーマである「Red Zone」で「RED RYU-TA RONE」を使用し、凄まじい反応を呼び起こして該当ラウンドで圧倒的な支持率で1位を獲得した。
この合作の全ラウンドがTVpleで多くの人気を博し、これらを鑑賞して入門した音MAD制作者が多かった。
現在の韓国音MAD界隈の主要コンテンツとなってる、すべての単品を鑑賞した後、投票を通じて次のラウンドに進出するチームを選定するトーナメント式の「競演合作」が始まったである。
KBSのコント番組「Gag Concert」のコーナーだった「達人」の中で2011年7月10日放送された「楽器の達人」エピソードを活用した合成素材。
原作映像でも斬新な楽器を披露したため、ただ不思議だと思って通り過ぎるエピソードだったが、2015年5月31日に「ナビブチ」という音MAD制作者が「パンフレットでyeeを演奏するキム・ビョンマン」をアップロードしたのを始めとして一時埋もれていたが、「キム・ビョンマンが歌うナイト・オブ・ナイツ」が起爆剤となり、数多くのビョンマンロイドが生まれた。
少数の制作者とコラギャラリー出身の音MAD制作者がいたが、楽器を演奏するシーン中心の素材であるビョンマンロイドは音MAD制作において負担が少なく、このため音MAD制作に挑戦する制作者が多くなり、新人制作者が大幅に増えた。
ビョンマンロイドはTVpleが元祖である最初のネタ。それまでは若干の自作と大部分のニコ動音MAD映像の無断転載で動画の人気が維持されていたなら、ビョンマンロイド以降、TVple内で素材を直接発掘して音MADを作り出そうとする動きが大幅に増え、これによりTVpleのイメージがやや良くなった面も少なからずある。
代表作品は「ビョンマンス」。特に圧倒的なクオリティを見せたこの作品は多くの人気を博し、ティビプル音MAD映像の中で最も多くのポイントを獲得するに至り、さらに多くのビョンマンロイド音MAD作品がアップロードされた。
TVpleでのビョンマンロイドの興行と新人音MAD制作者が多く生まれた後、既存のニコ動作品を転載するのとは異なり、直接素材を発掘して音MADを作ろうとする動きが見られ、この時発掘されたものの中で現在まで使われているのは「ジンジャンポン」などがある。
TVpleにも動画投稿機能以外に若干の掲示板があったが、音MAD制作者たちの交流の場として使うようなものではなかった。
ビョンマンロイド発掘以前の2014年から活動していた「キラ新薬制作者」が音MAD制作者たちの交流のために「新薬集合所」をNAVER Cafeの形で開設した。このカフェには素材共有、音MAD制作講座、制作時に疑問点を質問する掲示板、合作募集掲示板などがあり、音MAD制作に関連する情報を得やすく、ビョンマンロイド以降多くの新人制作者が流入した。
TVpleの衰退後のYouTube時代には、ここで作られた「Drug Store」YouTubeが合成人たちの集結地でもあった。TVpleに投稿されていた個人作がコメ付きのまま録画した映像が主に投稿され、それによって得た約2万人の登録者規模のチャンネルとなり、ほとんどの合作がここに投稿された。
上記した「キラ新薬制作者」は既存のTVpleで親睦を深めたり一緒に映像を制作したりするチーム文化を音MAD界隈にも導入し、Team Digital Drugを創設した。ビョンマンロイドにより大幅に増えた新人制作者たちがこのチームに多く加入した。その後Team Digital Drugでは同じチームに所属する音MAD制作者たちが様々な形の合作を行い、YouTubeにもこれらを投稿するために「Drug Store」チャンネルを作って管理した。その後、複数のチームが登場し、チームで集まった音MAD制作者たちが合作を行うケースが多かった。
ビョンマンロイド以降、新しい素材を探そうという意図で生まれた競演合作「新薬スターD」。既存のTVpleでメジャーとして使われていない素材を使って競演を行う。
サバイバル競演方式で投票によって次のラウンドに進むチームを選ぶのは「私はドラッグだ」と同じだが、各チームが直接作った音MADを披露するという点が大きく異なる点であり、現在まで続いている韓国の「競演合作」の枠組みをここで初めて確立した。
この合作で使用された素材はその後もかなり使用され、特筆すべき点として制作者本人が校内禁煙UCC大会に出品した「高校生合唱団」素材で自売りチームを組み、優れた映像クオリティと当時としては見ることが難しかったストーリー中心の音MAD作品を披露して優勝し、該当合作で大きな印象を与え、他の素材よりも長く広く使われた。
ただこの時期から、TVple運営側がサイトを放置レベルにしていたため、不満を感じたTVpleの創作者たちが大規模に離脱し、音MAD制作者たちも心を変えてYouTubeに移行した。
管理がどれほど行き届いていなかったかを示す例として、運営陣がサイトにどれだけ無関心かテストしようと一部のユーザーが(モザイクなどもない程の)AVをアップロードし、それでも消されなかったため、多くのユーザーが競うようにAVを投稿した。サイト全体がAVで埋め尽くされても一日以上そのまま放置された事例があった。
AV事態以降、残っていたユーザーたちまでも去り、より開放的でより質の高いコンテンツが多いYouTubeを多く利用するようになった。
2018年からすでに音MAD制作者たちはYouTubeに移籍しており、TVpleへの関心は全く持たなくなった。2019年4月8日にサービスが終了し、現在サイトは接続不可状態となっている。
上記したTVpleの衰退により、韓国の音MADは自然と最も利用者数が多い動画プラットフォームであるYouTubeに定着することになった。各自のYouTubeチャンネルに個人作と合作をアップロードする形態であり、現在もこの方式を採用している。ニコ動やbilibiliのような音MADなどのサブカル特化動画サイトがもう韓国にないことが特徴的である。
TVpleから去った音MAD制作者たちは各自のチャンネルに個人作を上げることもあったが、登録者2万人以上の規模を持つDrug Storeチャンネルに代理投稿される合作を中心に活動することもあった。「Drug Festival 2017」など大規模な合作を頻繁にアップロードし、2019年頃からは注目を集められない新人制作者たちのために音MAD個人作を代理投稿するシステムも確立して、しばらくTVple以降の作者たちの代表コミュニティとして定着した。
しかし2024年、Drug Storeチャンネルは著作権申告により消滅し、カフェも活動が停止状態に近くなった。一応、中心地という性格から脱した「コルマド_KORMAD」チャンネルが様々な試みをしながら、それなりに命脈を維持している。
「ジンジャンポン」素材は広告だけを見れば単なる平凡な食品広告だったが、TVple時代当時あまりにも広告として多く放映されたため素材として使われ始めた。TVpleが崩壊以来一度忘れられたが、合作「真ポン名ポン」シリーズを通じてメジャー素材として定着した。
コラギャラリー発の「ゴザラニ」も2015年頃から野人時代全体のネタ化が積極的に広まり、「野人時代終映15周年記念合作:爆8前夜」のような合作も登場、現在も多くのファン層を持つ韓国代表ミームとして定着した。
「イ・グァンスと蚊の呪い」を皮切りに韓国YouTubeで流行する素材を活用した音MADが人気を博し始め、「ムヤホーマイト」などYouTube「急上昇動画」に露出される音MADも現れるようになった。「鐘路スター」は原曲MV監督と素材アニメの制作会社がこの動画を言及するなど爆発的な人気を博し、既存の音MADを視聴していなかった一般人にも音MADを見ることが増えた。
この時期、音MADが多くの人気を得たことで企業が音MADの形態で広告映像マーケティングを行うケースも登場し(「尊重しよう、リスペクト!」)、外注形式で企業と音MAD制作者が協業して制作した広告も登場し始めた。(映画「オッケーマダム」の商業映像、Netflixドラマ「保健教師アン・ウンヨン」の商業映像)
「●合成ギャラリーオープン祝い● 海が見えるアッハッハ駅」のアップロード日である2002年6月7日の18周年となる日に「ReMinD 2020 [コラ物18周年記念合作]」がアップロードされ、韓国の名作音MAD作品をリメイクするこの合作は自然と音MADへの興味を大いに高めることとなった。上記した複数のヒット作音MADとこの合作は、新規音MAD制作者が大幅に増えるきっかけとなった。
この時期、徐々に個人作が減少し、個人作投稿の活性化のためにニコニコの「音MAD晒しイベント」をベンチマークした「第1回音MAD掲示イベント」が主催された。YouTubeのハッシュタグ機能を利用して探しやすく、現在の韓国の音MAD作品を集めて見られる一つのイベントとして定着している。
2020年に入門した新人制作者たちが優れたパフォーマンスを見せ、2024年初めから質の高い個人作が多く登場し始めた。3月にティーザーがアップロードされた「2024音MAD歌謡祭」は韓国では見ることが難しい大規模企画として多くの関心を集め、8月に成功的に終了し、韓国作者たちの一大祭典となった。
特に目立つ制作者は「JFF(제프프)」で、上記の音MAD歌謡祭参加者でもあるが、当時20万人を超える登録者を持つ大物制作者であった。既存にジンジャンポン広告素材として馴染みのあった韓国の国民俳優ファン・ジョンミンを使用した「 栗ようかん」などの作品がたちまち高い再生回数を達成し多くの人気を博した。7月には素材として使用した俳優ファン・ジョンミンとの直接対面も行われた。
これまでになかったオフラインイベントへの進出試みも目立った。上記した「2024音MAD歌謡祭」そして2024年ジンジャンポン合作「オットゥグルーブ」のオフライン上映会を行いその経験の下で、12月に100人の観客が参加した音MAD DJイベント「SORIMIX」が盛況のうちに行われた。
ニコニコの「音MAD作者が選ぶ音MAD10選」をベンチマークした上で、色んな要素を加えた「2024音MAD大賞」が開催され、制作者たちの間でどの音MADが多くの関心を集めているかがわかるようになった。韓国サブカルイベント「イラスターフェス」で「SORIZIP」ブースが開かれ、韓国初の音MAD関連ブースが多くの関心を集め完売となった。
そしてJFFさんんお「ソン・ギフン - 氷」は短期間に1000万再生回数を達成し、一般人や有名人を問わず多くの関心を集めている。昨年は様々な試みの企画が多かったため、今後どのような形で音MADを楽しめるかが期待される見通しである。